新撰組 燃えよ剣とPEACE MAKER

しばらくブログの更新が止まってしまっていたのですが、ずっとタイトルの2作品を交互に読んでいました。
今回はそれについて書きたいと思います。

燃えよ剣

燃えよ剣は幕末に活躍した新撰組の副隊長、土方歳三の生涯を追う司馬遼太郎さんの有名な作品。

燃えよ剣 (文春e-book)

燃えよ剣 (文春e-book)

延期になっているようですが、映画も今年公開予定ですね。

PEACE MAKER

こちらは、もともとガンガンで連載していた漫画で、Wikipediaによると、1999年4月に第1巻が発売されているようなので、もうかれこれ21年間も続いている作品だと思うと感慨深いですね。
主人公は、土方歳三の小姓 市村鉄之助を主人公に史実と創作を織り混ぜたフィクションとなっています。

新撰組異聞PEACE MAKER芹澤鴨暗殺後、局長近藤、副長土方の体制から始まり、それ以降から池田屋事件までを描いています。

PEACE MAKER鐵は、その池田屋の後からの話を描いていて、現在も続いています。

なぜ並行して読み始めたのか

3つ理由があり

解決した?

燃えよ剣に出てくる、七里研之助はPEACE MAKERに出ていなかったことの確認
出ていませんでした。七里は架空の人物でした。司馬遼太郎さんの作品はすごく史実に沿って描かれているので、どこまでが史実でどこまでが創作なのかこの作品単体で読んだときに少しわかりにくいですね。確認できてスッキリしました。ちなみに、お雪さんも同様に架空の人物ですね。 西昭庵のエピソードすごく染みてよかったです。

燃えよ剣池田屋事件以後、大政奉還までがマッハで終わったので、PEACE MAKERはその間何を描いていたのか
伊藤甲子太郎の暗殺を行う油小路の変が2巻分にわたり結構壮大に描かれていました。近藤派、伊藤派で隊の絆を描くには、確かに使いやすいエピソードだなと思いました。

伊東甲子太郎の入隊以後休載となったPEACE MAKERの現在
基本的には、燃えよ剣と同じよう土方歳三が辿った京都→江戸→宇都宮→北海道の軌跡を辿っているようです。 最新刊は会津城で戦っています。

並行して読んで思ったこと

人がバタバタ死んでゆくので辛いですね。特に敗走が始まってから近藤さん沖田さんと続けて新撰組の重要な人物が亡くなっていゆくあたりがかなり辛いです。

PEACE MAKERでは、オリジナルの黒猫さんたちが出てくるのですが、沖田さんの死亡時の黒猫のエピソードに絡めるのだろうなと予想はしていたものの、思った以上に良い話になっていました。自分を苦しめるために差し向けられた刺客にお団子を置いとくとか尋常じゃないです。

竜馬がゆくを読んでいる時から薄々思ってはいましたが、司馬遼太郎さんは新撰組やその組織の人間あまり好きじゃないんだろうなと思って読んでいました。もともと農家の育ちなので学がなく、とにかく視野が狭い故に、最後まで敗走するしかなかった。そんな印象を受けました。

おそらく、近藤さんが大政奉還時に身の振り方に悩んでいたようにあの時、幕府側でなく天皇側についていれば少なくとも近藤さんは生きていたのだろうなと思いました。

近藤さんがどういっても戦うだけだと戦場に出かけていく土方さんは、考えや思想・哲学を途中で変えることをすごく恥ずかしいことであるかのように捉えている印象を受けました。周囲の人々からいろいろな考え方を受け取り、自分の考え方や意見がそれによって変わっていくことを楽しんだ方が幸せだよなぁと反面教師的に受け取りました。

それと、大政奉還以後薩長の軍隊と戦うにあたり、武器のアップグレードが激しく旧式の武器が次々に使い物にならなくなる様子を見て、エンジニアが常に勉強し続けないとすぐに現在の技術が旧式になってしまうのに似ているなぁと思いました。また、「歩兵心得」という本が途中出てきますが、あれが土方さんが北海道まで敗走できた要因かなと思っています。武器は最新であればあるほど良いが、古い武器でも使えないことはなく、大事なのはどう戦いを組み立てていくか、戦いの設計に当たる部分の基礎がありさらにアップデートされれば多少技術が古くなったとしても戦えるものだなぁと思いました。

辛い話が続きはしたものの、過去好きだった作品をまた追いかけるきっかけにもなり読み始めてよかったです。PEACE MAKERは主人公が市村鉄之助のため、戊辰戦争まで描かず、土方さんに江戸に追い返されてとりあえず生き残って取りうる限り最高の細やかなハッピーエンドで終わるのではと淡く期待しています。

顔がこの世に向いてない。

ギャグ漫画に見せかけた恋愛漫画のような哲学書

ジャンプ+で連載している縦読み漫画。

面白いのだけど、読者が自分が思っている以上に少ない気がした。
絵が苦手な人はいるかもしれない。

自分の顔に異常なコンプレックスがある主人公に、ある日学年随一のイケメン北見くんが自分のことが好きだと告白してくる。

ネガティブ主人公は即座に罰ゲームで告白してきたのだろうとありとあらゆる可能性で彼の告白を否定する。

しかし、2週間経っても北見くんは毎日迎えにくるし映画のチケット代は全部出してくれるし、どうも様子がおかしい。

こんなに醜い自分のことを顔だけじゃなく全部好きだといってくる。これはおかしい。

唐突に吐露される哲学

この漫画、ギャグ漫画かと思って油断していると登場人物たちが思った以上に真っ当なことを言い出すので思わず深く頷いてしまう。

上の北見くんのくだりは3話目だが、その中で親友のルーシーのこんな台詞がある。

「私は単にアニメとか漫画が好きなだけだ
 それを三次元に興味がないとか現実から逃げてるみたいに言われるのは不快だ
 (中略)
 私は三次元に興味がないんじゃなくて、単に二次元が忙しすぎるだけなんだ」

人の時間は有限で、その限りのある時間の中で何にどれだけ時間を費やすかはその人次第で、その割合が単に二次元に大きく割かれているだけのことと一蹴するルーシー。瞬時にそれが出てくるの、カッコよくないですか?

まれに、「xxしないのは人生損してる」みたいなことを言われることがあるけれど、言われた方はすごくモヤモヤする。まるで、こちらが対象を避けているかのような言い方だが、その分自分は自分の興味ある事柄に手一杯なんだよな。

それ以外にも、愛なのか下心なのか、自分の性と葛藤する男子の話であったり、主人公の顔がもし美少女と入れ替わったらというifストーリーなどもすごく考えさせられました。


顔がこの世に向いてない。 2 (ジャンプコミックス)

顔がこの世に向いてない。 2 (ジャンプコミックス)

  • 作者:まの瀬
  • 発売日: 2020/03/04
  • メディア: コミック

現在2巻まで出てますが、ジャンプ+のアプリからなら初回は全話無料で読めます。

GW中にサクッと読んでみてください。

ブルーピリオド

ブルーピリオドとは

毎年マンガ好きが集って一番面白い漫画を決めるマンガ大賞
2020年のマンガ大賞を授賞した「ブルーピリオド」を読みました。

不良だけど、人当たりが良くて、周りに合わせてなんとなく学校生活を送っていた主人公が、美術の面白さに目覚め、東京藝大合格を目指し奮闘するマンガです。

絵を描くのが怖いなとしばらく思っていた

私は、高校3年間を美術科という絵を描くことから逃れられない環境にいたので、絵を描くことが怖いという主人公の感情が痛いほどわかった。なんかよくかけたかも?と思って講評会で全員の絵を並べると、「いや、自分が一番下手だ...」と変な汗を描くのだ。

ブルーピリオドを読み始めて自分自身と向き合い作品を作っていくことの辛さを思い出した。
それと同時に、絵を描くのって楽しいよなと再確認もした。
初めての素描で森先輩がぐっと集中して自分の世界に入るシーン、素描やるときの雰囲気って、そう、それ!それだよねとなってうなずいた。

主人公、矢口くんのすごいと思ったところ

矢口くんはとにかく人当たりが良くて、コミュ力お化けだ。悩んだときに人に素直に聞ける、相談できるのは才能だと思った。行き詰まった時に、学校の先生であったり、クラスメートであったり、予備校のライバルであったり、自分の悩んでることを相談できてそこから答えを見出して前に進む力が強いと思った。
人に自分の悩みを相談するのって、結構ハードルの高いことだと思っている。
だから、自分が矢口くんのようになるならば、もっと普段からコミュニケーションの量を増やしてハードルを下げておく必要があると思った。

矢口にとって縁は糸の形してた?

「『わたしの大事なもの』をテーマに描きなさい」という課題に対し、大切なもの=縁=糸と関連づけ、糸を題材にした絵を提出した主人公に対し、予備校講師の大葉さんがいったのがこのセリフ。

矢口にとって縁は糸の形してた?

縁=繋がり=糸と安直に出した答えに対して、本当にそうなのか?と問いかけた。
何かをうまくまとめなければいけない時、自分の意見や考えでなく、一般的によく纏まって見える解釈しやすい方向に流れてしまうことがある。私もそういうところ、あるなと思った。分かりやすいことは正義ではあるけれど、自分の意見を表現する場では他人の意見や世間一般の解釈をなぞっても意味がない。自分は本当にそう思っているのか立ち止まって熟考することが減っているなと思った。

余談

読んでて、他の作品にリンクするなと思ったところ

自分が描きたい絵を描けるようになるためには何より、技術が必要。 これ、最近何かで読んだなと思った。 「ハイキュー!!」だった。何かを本当に楽しむためには一定技術が必要。

ハイキュー!! 1 (ジャンプコミックス)

ハイキュー!! 1 (ジャンプコミックス)

  • 作者:古舘 春一
  • 発売日: 2012/06/04
  • メディア: コミック


あと、最新7巻まで読みましたが、私はへそ曲がりな世田介くんが好きなので、これからも出番が増えそうで嬉しいです。